「退職届と退職願、どっちを出せばいいの?」
いざ辞めると決めたのに、最初の事務手続きでつまずく。実はとても多いパターンです。
しかも書き方や出す順番を間違えると、円満に辞められるはずだった退職が、無駄にこじれることもあります。
私はこれまで5回の退職を経験しました。スムーズに送り出された退職も、順番を間違えて気まずくなった退職も、両方知っています。
この記事では、その経験から、退職届と退職願の違い・書き方・円満退職の手順5ステップを解説します。
1. 【結論】口頭で合意してから「退職届」を出すのが実務の正解
結論から言います。多くの会社員にとっての正解は、先に上司へ口頭で退職の意思を伝えて合意を取り、そのあとに退職届を出す流れです。
いきなり書面を突きつけるのは、宣戦布告のように受け取られがちです。逆に、口頭合意のあとの退職届は「手続きの紙」として静かに受理されます。
書類そのものより、出す順番が円満退職の分かれ目です。
とはいえ、まずは3種類の書類の違いを整理しておきましょう。名前が似ているだけで、役割はまったく違います。
2. 退職願・退職届・辞表の違い|会社員が出すのはほぼ退職届
3つの違いは、ひとことで言うと「お願い」か「通知」か「役職返上」かです。
- 退職願:「辞めさせてください」というお願い。会社が承諾する前なら撤回できる余地があります
- 退職届:「辞めます」という確定の通知。提出後の撤回は原則できません
- 辞表:役員や公務員が出すもの。一般の会社員には無関係です
> 「じゃあ、慎重に退職願から出したほうがいいの?」
実務では、その必要はほとんどありません。口頭で意思を伝えて合意する行為が、退職願の役割を果たしているからです。
だから流れとしては、口頭で伝える→合意→退職届で確定、の一本道になります。ここからは、その一本道を5つのステップに分けて説明します。

3. 円満退職の手順5ステップ|順番を守ればこじれない
3.1 ステップ1:就業規則で「何日前までに申し出るか」を確認する
まず、自社の就業規則の退職の項目を読みます。「退職の1ヶ月前までに申し出ること」のような規定が必ずあります。
法律上は2週間前の申し出で退職できますが、円満を目指すなら就業規則に沿うのが無難です。
3.2 ステップ2:退職日から逆算してスケジュールを引く
内定先の入社日、引き継ぎ期間、有給消化をカレンダーに置いて、申し出日を決めます。
転職活動全体の時間割は在職中転職のスケジュールで詳しく解説しています。
3.3 ステップ3:直属の上司にアポを取り、口頭で伝える
伝える相手は、必ず直属の上司が最初です。先に同僚や人事に話すと、上司の顔をつぶしてしまい、こじれる原因になります。
「ご相談があります」と会議室でのアポを取り、「一身上の都合で、◯月末で退職させていただきたく」と結論から伝えます。
3.4 ステップ4:合意後に退職届を提出する
退職日が固まったら、退職届を書いて提出します。書き方は次の章のテンプレ通りで大丈夫です。
3.5 ステップ5:引き継ぎ資料を作り、後任に渡す
最終日まで手を抜かず引き継ぐこと。これが「去り際の評判」を決めます。転職先とあなたの業界は、思ったより狭くつながっています。
手順が分かったところで、肝心の退職届の書き方です。

4. 退職届の書き方テンプレ|用紙・封筒・文面はこれだけでいい
退職届は、白の便箋に黒ペンの手書き、または会社指定のフォーマットで作ります。文面はシンプルが正解です。
- 1行目:退職届(中央に大きく)
- 本文:「私儀 このたび一身上の都合により 令和◯年◯月◯日をもって退職いたします」
- 日付:提出日
- 所属・氏名:氏名の下に押印
- 宛名:会社の正式名称と代表者名(自分の名前より上の位置に)
封筒は白無地で、表に「退職届」、裏に所属と氏名を書きます。
ここで私の体験談をさせてください。
2社目を辞めるとき、私は理由欄に会社への不満をにじませた長文を書きました。気持ちの整理のつもりでしたが、受け取った上司の表情は一気に硬くなり、最終日までぎくしゃくしたままでした。
その反省から、次の退職では理由は「一身上の都合」の6文字だけにしました。本音がどうであれ、書面はテンプレ通り。これが一番傷を残さない書き方だと、身をもって学びました。
さて、退職届を出す前後で高確率で発生するのが「引き止め」です。
5. 引き止めへの心構え|答えを変えない準備をしておく
退職の意思を伝えると、多くの場合、引き止めが入ります。
エージェントから聞いた話では、引き止めで残留した人のかなりの割合が、1年以内に再び退職を考えるそうです。不満の根本が解消されないまま残るからです。
心構えはシンプルです。
- 感謝は言葉で丁寧に伝える
- ただし退職の結論は変えない
- 「考え直します」と持ち帰らない(ズルズル延びる入口です)
昇給提示・情への訴え・期間延長という3大パターンのかわし方は、引き止め交渉のかわし方で詳しく解説しています。
最後に、退職までの期間にやりがちなNG行動を確認しておきましょう。

6. 円満退職を壊すNG行動3つ|最後の1ヶ月こそ丁寧に
5回の退職で見聞きした「もったいない失敗」は、この3つです。
- 退職理由で会社批判を語る:スッキリするのは一瞬で、残りの在籍期間が気まずくなるだけです
- 転職先を社内で言い回る:妬みや余計な詮索の種になります。聞かれても「まだ言えないんです」でかわすのが安全です
- 引き継ぎを雑にする:去り際の手抜きは、あなたの数年分の評判を一撃で上書きします
なお、退職を切り出す前の段階で転職活動が職場に知られるのを防ぐ方法は、在職中の転職活動がバレない5つの対策にまとめています。
7. まとめ:書類はテンプレ通り、順番は就業規則通り
最後に、要点をおさらいします。
- 会社員が出すのは実務上「退職届」。口頭合意のあとに提出する
- 就業規則の申し出期限を最初に確認する
- 最初に伝える相手は直属の上司
- 文面は「一身上の都合」だけ。不満は書かない
- 引き止めには感謝で応え、結論は変えない
退職は、転職活動のゴールであると同時に、社会人としての評判が試される場面でもあります。
まずは就業規則の退職の項目を開くところから始めてみてください。期限が分かれば、あとは逆算するだけです。

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